後見人は、なにをしてくれるの?

 後見人は、主として、被後見人の預貯金や不動産の管理などの資産管理、被後見人の代わりに日常生活に必要な光熱費の契約、介護施設との入居契約といった契約の締結を行います。

 しかし、被後見人の日常生活のお世話といったことまで直接に担当するわけではありません。そのようなお世話については、親族やら介護施設やらに担当してもらうことになります。この点は、勘違いしやすいのでご注意を!

 日常生活のお世話を担当してくれる親族がいる場合には、その親族から様々な情報を得ながら、被後見人にとって望ましい環境整備をすることになりますので、親族との良好な関係を維持することも重要です。
 が、被後見人の利益を守るため筋を通すことも重要ですから、高度のさじ加減が後見人には要求されます。

 被後見人は、ご老人であることが多いため、手術の必要がある場合もあり、身寄りのないご老人の場合ですと、病院側から手術に関する同意書への署名捺印を求められます。病院からすれば、これも後見人の仕事だと勘違いしやすいじゃないかなと思います。
 しかし、後見人にそのような同意をする権限はありませんので、私は、説明したうえで丁重にお断りしています。説明すれば、わかってもらえます。

 また、被後見人が亡くなられた場合、しっかりした親族がいれば葬儀等をお任せしておけば十分ですが、親族らしい親族がいない場合、大変困った事態になります。
 実は、後見人の職務は、被後見人の死亡により終了してしまうので、死亡後の葬儀等を取り仕切る権限はないのです。
 法の建前では、そのような場合、市町村長が死亡後の事務を取り仕切ることになっていますが、はたして市町村職員がそこまでやってくれるのか、はなはだ疑問があります。
 被後見人が死亡した場合、ただちに病院に入院費用を支払ったうえでご遺体を引き取り、簡素でも葬儀を執り行い、火葬して納骨する必要があります。
 これらは、のんびりゆっくりやれるものではありません。死亡後、間を空けずに迅速に実行する必要がありますし、それが亡くなられた方への礼儀だと思うのです。
 私は、この点は法の不備だと思っており、親族が葬儀等を行わない場合、後見人にそれらを行う権限を与えるべきだと考えています。

タグ: