個人の借金整理の方法としては、①任意整理②個人再生③破産の三つがあります。
破産の場合には、残念ですが、基本、自宅不動産の保有は困難です。
他方、任意整理の場合、裁判所とは無関係に、個別業者と弁護士が交渉する方法ですから、自宅不動産を手放すことを強制されることはありません。要するに、自宅を維持できる余裕があるなら、維持できるということです。
そもそも、任意整理で処理できる人というのは、ある程度高額の収入のある方です。
住宅を維持できるか否か問題となるのは、本来なら破産状態にある方、あるいは破産寸前の状態にある方です。
個人再生は、破産寸前にある方が完全に破産状態になってしまう前に救済しようとする制度です。
おおざっぱに言えば、借金総額500万円未満の方なら、3年間で合計100万円を返済すれば残額が免除されるという、大変有意義な制度なのです。
このように個人再生は、とってもよい制度なのですが、基本的に、債権者の公平の観点から、特定の借金を除外することが許されません。
しかし、そうすると、住宅ローンも個人再生により負債が圧縮されることになりますよね!
これでは、住宅ローンを貸し付けている金融機関は、残金を一括請求し、支払いがなければ、不動産を競売にかけるなどという事態になりかねません。
これでは、住宅を失うことになり、あんまりだし、住宅ローンを抱える方が個人再生制度を使うことが困難になります。
そこで、民事再生法は、住宅を残す手段を認めることにしたのです、これが、いわゆる「住宅ローン特別条項」なるものです。
この「住宅ローン特別条項」は、大変いい制度であり、使われる方も結構いらっしゃいます。
ただ、この制度は、例外的な制度ですので、条件が細かく若干厳し目です。
うっかりすると、適用の条件を満たさないこともありますので、要注意な分野です。