過払金は、いつまで返還請求できるの?~プロミスの場合

 かってのサラ金やカード会社は、利息制限法の上限金利を越える金利をとっていました。
 なので、計算しなおすと、すでに借金は残っておらず、逆に払い過ぎになっていることがありました。これを過払金と言います。

 2、3年前までは過払金の返還請求が大ブームで、多数のサラ金の経営破綻を招きました。

 しかし、過払金が取り戻せることは全国津々浦々まで知れ渡り、おそらく一巡したのでしょう。去年あたりからほとんどありません。

 最近、久しぶりに我が事務所に過払い案件が舞い込みました。

 20年以上前から借入れを始め、今現在まで支払いが継続されていました。相手方は、プロミスですが、その前はクオークローン(その後,クラヴィスに会社名が変更され,破産しています。)でした。

 プロミスは、平成19年、クオークローンなどの子会社の顧客をプロミスへ集約するという方針の下、グループ会社の再編を進めました。
 
 具体的に言えば、クオークローンの顧客を店舗に呼び出し「残高確認書兼振込代行申込書」なる文書に署名捺印することを説得しました(切替え事案)。これにより、過払金返還義務をクオークローンに残しつつ、今後の返済をプロミスに対して行わせようとしたのです。
 これに従わない顧客に関しては、クオークローンからプロミスに対して債権を譲渡してしまうという荒業に出ました(債権譲渡事案)。債権譲渡は、債務者である顧客の同意なしでも行うことが可能だからです。

 最高裁判所は、切替え事案に関しては、第三者のためにする契約というテクニックを使って過払金返還義務がプロミスへ引き継がれることを認めました。
 しかし、まったく不合理でアンバランスなのですが、債権譲渡事案では、過払金返還義務がプロミスへ引き継がれることを否定しました。

 なぜ最高裁判所がこんなアンバランスな判断をしたのかには諸説あります。
 平成18年以降、最高裁判所は,相次いで借主有利の判断を下しました。この結果,数多くのサラ金やカード会社が倒産しました。
 おそらく最高裁判所は、「これは、やりすぎだった。」と考えるようになったのではないでしょうか。このような方針変更があったとしか考えられないのです。

 いずれにせよ、切替え事案であれば、プロミスに対して過払金返還請求を行える可能性が大といえます。

 ただ、切替え事案だとしても、最終取引日(通常は、最終返済日。)から10年経過していると過払金返還請求権も時効にかかりますので、返還を請求することができなくなります。

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