男女間の交際の程度や形態には、さまざまあるでしょうし、まさに男女間の問題であるがゆえに、いつなんどき何が起きてもおかしくないという不安定さが付きまといます。
こんな男女間の問題が、まともな法的なトラブルとして取り上げられるのは、いくつかの類型に限られます。
そう、男女間の問題が、すべからく法的な問題となるわけではないのです。
たとえば、仲良く交際していた間に、彼女におごった食事代、プレゼントした貴金属の代金、そういったものを、交際解消してから返してほしいと主張する男がたまにいたりします。
そんな感情を理解できなくはありませんが、法的に返還請求権を根拠づけるのは困難です。
その当時は、愛情に基づいて支出しているわけですから、支出の原因は存在したのであり、不当な利得には該当しないでしょう。
そもそも、見苦しい主張であり、私は、あきらめるように説得しています。
他方、夫が浮気した場合、浮気相手に慰謝料請求できるんでしょうか?
これは、皆さん良くご存じのとおり、理屈のうえでは請求できるという結論になります。
相談に来られた方から、いくら取れるのかと良くきかれるのですが、慰謝料の金額は、まさにケースバイケースです。
どうしても表沙汰にできないと思う人は、ぼったくりだと思いつつも支払うでしょう。
当事者間の交渉で和解する場合には、外に出てきませんから、実際、どの程度の金額が支払われているのか、よくわかりません。
これに対し、訴訟になった場合ですが、数十万円から高くて300万円くらいまでというのが、札幌の相場ではないでしょうか。
これもケースバイケースですが、ぶっちゃけたところ、相手方の支払い能力にかなり左右されるという側面があります。
ところで、要注意なのは、浮気相手に対する慰謝料請求なるものを法的に認めるのが、はたして適切なのかという議論が昨今盛んに行われていることです。
そもそも、結婚したからといって、相手方の恋愛感情といった精神的な部分を夫婦の一方が支配するということが認められるべきことなのかどうか?
そういった人格尊重の理念から巻き起こった議論ではないかと思います。
ま、確かにこのような議論にもまったく理由がないとは思いませんが、現実には、浮気相手に対する慰謝料請求事件は、相当な件数が訴訟となっており、この勢いは、当面継続するのではないかと思われます。